なつかし昭和年代の映画レビュー~映画は人生の道しるべ

昭和年代に公開された映画を中心に感想を綴ります。 円谷ゴジラ映画で始まった映画鑑賞歴。ジャンルを問わず、いろいろ観てきた作品の中で、いまもう一度鑑賞した作品のレビューを書いていきたいと思います。

昭和年代に公開された映画を中心に感想を綴ります。
円谷ゴジラ映画で始まった映画鑑賞歴。ジャンルを問わず、いろいろ観てきた作品の中で、いまもう一度鑑賞した作品のレビューを書いていきたいと思います。

3
5月17日に女優・星由里子さんがお亡くなりになりました。74歳でした。 僕らの世代だと、彼女の出演作といえば、加山雄三さん主演作の「若大将」シリーズです。 彼女が演じるヒロイン・澄子(澄ちゃん)は当時の若者たちのアイドルでした。 僕はまだ子供でしたから、きれいなお姉さんという印象でした。 彼女は「若大将」シリーズと同じ東宝の看板シリーズになっていた「ゴジラ」シリーズにも出演しています。 「モスラ対ゴジラ」(1964年)三大怪獣 地球最大の決戦(1964年)ゴジラ×メガギラス G消滅作戦(2000年) の3作品です。 hoshiyuriko
「モスラ対ゴジラ」は「ゴジラ」(1954年)、「ゴジラの逆襲」(1955年)、「キングコング対ゴジラ」(1962年)に続くゴジラシリーズ第4作目。 1961年に公開された「モスラ」の続編です。 星由里子さんは毎朝新聞記者助手を演じています。 彼女以外に本作に出演しているのは宝田昭さん、小泉博さんhoshiyuriko2
宝田昭さんはゴジラシリーズの常連で、本作以外では 「ゴジラ」(1954年)、「怪獣大戦争」(1965年)、「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」(1966年)、「ゴジラvsモスラ」(1992年)、「ゴジラ FINAL WARS」(2004年) の5作品。 2014年に公開されたハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」にも出演していたそうですが、残念ながらカットされています。 小泉博さんは「三大怪獣 地球最大の決戦」(1964年)、「ゴジラ対メカゴジラ」(1974年)、「ゴジラ(1984年)」、「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」(2003年) の4作品に出演。「モスラ」にも出演しています。 本作は嵐で伊勢湾の干拓地に打ち上げられたモスラのタマゴ狙ってゴジラが出現。 タマゴを護るため親モスラが飛来し、ゴジラと戦う。しかし、ゴジラの放射能光線を浴びて、親モスラ尽き果てたとき、タマゴから2匹の子モスラ(イモムシ状)が誕生。2匹が協力してゴジラを倒します。 ゴジラと親モスラの戦い mozura00
ゴジラと子モスラの戦い mozura01
僕は本作公開時はまだ小1だったので、劇場では観ていないと思います。併映は『蟻地獄作戦』という作品だったようで、まったく記憶がないです。 たぶんテレビ放送で観たんでしょう。当時は野球が中止になると怪獣映画を放送していましたから。 何回も観たような記憶があります。 2015年にWOWOWがゴジラシリーズ全作品をハイビジョン映像で放送しましたので、ブルーレイにダビングして保存版にしています。 本作の舞台は名古屋がメインで、愛知県出身の僕にとってロケーションだけでも面白く鑑賞できました。 守り神である善のモスラが破壊神である悪のゴジラを倒す勧善懲悪のストーリーもなかなか面白いし、円谷英二さんによるミニュチュアを駆使した特撮も見応えがあります。 悪役のゴジラは本作で最後で、次回作「三大怪獣 地球最大の決戦」からは人間の味方となって15作目の昭和ゴジラシリーズ最終作「メカゴジラの逆襲」まで続きました。 昭和ゴジラシリーズは「モスラ対ゴジラ」までが秀逸だと個人的には思います。 ゴジラが人間の味方になっていった「三大怪獣 地球最大の決戦」以降は子供向けになって、 ストーリーはおろか特撮、怪獣デザインも含めて徐々に陳腐化していったような気がします。 【公式】「モスラ対ゴジラ」予告 東宝の2大怪獣スター、ゴジラとモスラの初対決を描いたゴジラシリーズの第4作目。 動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=S_DMKmRmdBg

2017年5月19日から公開された『メッセージ』は異星人=侵略者というイメージを覆し、異星人を人類の味方として描いていました。

実は日本でも62年前の1956年に異星人を人類の味方として描いた作品が公開されています。

今はなき大映で製作された『宇宙人東京に現わる』です。

Uchujin_Tokyo_ni_arawaru_poster

監督は俳優から監督業に転身した島耕二

人情ものから空想ものまで様々なジャンルの作品を精力的に撮ってきた監督です。

 

ストーリーを超簡潔に説明すると、

ある日、東京上空にUFOが頻繁に飛来するようになる。

UFOはパイラ星人のもので、彼らは地球人に原水爆の開発をしないように警告に来ていたのである。

日本人に接触をしてきたのは、日本が世界で唯一の被爆国であることから。

原水爆を開発している国に警告をしても聞き入れられないからだ。

パイラ星人はヒトデのような姿をしていて、東京の各地に姿を現すのだが、みんな驚いて逃げてしまう。

ヒトデの姿のままでは意思を伝えられないと、彼らは人気ダンサー・青空ひかりの姿に変身して人間とコンタクトを取ろうとする。

 

ヒトデ型宇宙人のデザインは岡本太郎。万博の太陽の塔のデザインをした方です。

このヒトデ型宇宙人は人間を”顔に出っ張りがある醜い生き物”と認識しているところが面白いですね。人間の価値観では彼らの方が思い切り気持ち悪いのに。

パイラ星人の代表が青空ひかりに変身していくシーンは粘土の造形と顔写真をコマ送りで簡単なトリック映像ですが、陳腐感を感じない出来栄えです。
美女に変身したパイラ星人は科学者・松田の家に潜り込むことに成功。松田が開発した原水爆以上の破壊力を持つ元素「ウリウム101」の元素記号を書いたメモを破ってしまう。

かつてパイラ星でも同じ元素を開発した科学者がいたが、あまりの破壊力に恐れて、すべての情報を破棄した経緯があった。その後、別の平和利用できる元素を開発し、パイラ星の科学は飛躍的に進歩した。

パイラ星人は友好を示す印として、近いうちに地球に新天体Rが衝突するという情報を提供する。

それを知った科学者たちは国際会議に、各国が所持している原水爆を新天体Rを破壊するために使用することを提案するが、真偽が疑わしい情報のため提案は却下されてしまう。

刻々と地球に近づく新天体R。

原水爆が使えなくても、日本には松田が開発した「ウリウム101」がある。

しかし、松田は「ウリウム101」の存在を知った武器商人に捕まり、廃墟ビルに監禁されてしまう。

新天体Rは秒速200キロという猛スピードで地球に近づき、肉眼でも確認できるところまで接近。やっと原水爆所持国は動き出し、新天体Rに向かって原水爆を搭載したロケットを打ち込むが、新天体Rはびくともしなかった。

頼みは松田が開発した「ウリウム101」だけ。

地上が新天体Rの熱による影響を受け、熱波、大津波、暴風の被害を受け始めた中、パイラ星人が現れ、松田を助けに向かう。

特撮はのちに円谷プロのウルトラQで特撮を手掛けた的場徹が担当。新天体Rの熱によりビルが破壊されるシーン、大津波が街を襲うシーンなどの特撮は見応えがあります。

パイラ星人は「ウリウム101」から超破壊爆弾を作り、新天体Rに向けて、宇宙船からミサイルを発射。新天体Rは爆弾の威力により粉々に砕け散った。

松田の開発した元素とパイラ星人の科学の力により地球は救われたのである。

友好的な異星人の設定は、1951年に公開されたアメリカ映画『地球が静止する日』の影響を、天体が地球に衝突するのは『地球最後の日』の影響を受けていますが、

被爆国である日本の核兵器廃絶の理想が織り込まれています。

 

『メッセージ』で描かれていた醜い姿だけど友好的な異星人や核兵器に対する社会情勢などの設定は、61年前にすでに日本で映画化されていたのです。

 
宇宙人東京に現わる [DVD]
磯辺直太郎
角川書店
2012-10-26

『大魔神』は1966年(昭和41年)に当時の映画製作会社であった大映が製作したモンスター映画である。

東宝はゴジラシリーズがヒットしていて、前年の40年にはゴジラシリーズ第六作目の『怪獣大戦争』が公開されていた。
大映にはもうひとつのモンスター映画『ガメラ』を1965年に公開していて、『ガメラ』が東京の撮影所で製作していたのに対して、『大魔神』は京都の撮影所で製作していた。
またこのモンスター作品2作は2本立て公開だったから観る側はかなりお得感があったと思う。

大魔神は鎧を着た巨人で、モデルはチェコスロバキアの巨人ゴーレム。
普段はハニワのような顔をした優しい神様として登場する。
しかし、迫害された主人公の願いを聞き入れると、優しい顔が一変、憤怒に満ちた恐ろしい顔になり暴れまわる。


daimajin_

『大魔神』シリーズはその後2作品製作され、同じ1966年に『大魔神怒る』『大魔神逆襲』が公開されている。
僕は劇場では観たことがなく、TVで放送されたものを鑑賞している。
2016年にWOWOWでデジタルリマスター放送されたもので再び鑑賞することができた。
時代劇のメッカ京都で製作されただけあって、クォリティは抜群で、今でも十分鑑賞に堪えられる。
巨大な大魔神が悪徳領主の領地内を暴れまわる特撮は実物大の模型を使ったりして、かなりアナロク要素が強い特撮だけど、見応え十分で迫力がある。
ただひとつ難を言えば、大魔神のハニワ顔から憤怒の顔に変化する場面の処理。顔の位置がズレてしまっている。これを除けば、今でも十分通用する映像である。




3

『マタンゴ』は東宝円谷プロの変身人間シリーズ3部作の番外編として製作された作品。

1963年8月に劇場公開されたので僕は劇場では観ていないし、たぶんテレビ放送でも観ていなかったように思う。

matango


当時は2本同時上映が普通で、本作と同時上映されたのが加山雄三主演『ハワイの若大将』

若大将シリーズは東宝怪獣映画の同時上映で観た記憶があり、テレビ放送でもよくやっていた。

一昨年、WOWOWで若大将シリーズ全作品一挙放送があって、全部BD-Rに保存した。

これから少しづずつ見直しして、当ブログでレビューしてみようと思っている。

 

さて『マタンゴ』だが、変身人間シリーズの中で本作が一番観たくてTSUTAYAで一番先にレンタルした。本作を鑑賞後、本シリーズ3部作をレンタルして観ている。

 

ウィリアム・H・ホジスンの海洋綺譚「夜の声」が原作とのことで、変身人間シリーズの中では唯一原作があることになる。

監督は東宝怪獣シリーズではお馴染みの本多猪四郎、円谷英二のコンビ。

 

物語は病院に収容された青年の告白から始まる。

豪華ヨットでクルージングに出かけた男5人と女2人。嵐に会って、無人島に漂着。

無人島にはカビとキノコくらいしか生えておらず、持ち合わせていた食料もわずか。

島で発見した難破船の中で飢えに苦しむ7人はやがて仲間割れしていく。

夜な夜な島の奥からキノコのような姿をした怪物が現れ、7人に襲い掛かる。

難破船に残された手記には「キノコを食べるな」と記されていたが、飢えに苦しむ彼らは1人また1人とキノコに手を出し、自ら怪物に化してゆくのである。

7人のうち唯一島から脱出できた青年。

彼は病院に気がふれた患者として収容されてしまう。

「戻ってきて、気違いにされるくらいなら、あの島でキノコの怪物になって、恋人と暮らした方がマシだった」

と呟いた青年の顔からはキノコが生えだしていた。

 

無人島でキノコの怪物に襲われるというただそれだけのお話なんだけど、

キノコの怪物が徐々に姿を現してくる展開や怪物になりかける人間の異様な姿が気味悪い。

また飢えに苦しみ始めた7人の若者たちが徐々にエゴを出してきて仲間割れしていく過程がよく描かれている。

絶対にキノコには手を出さないと誓っていた青年が、ラストでキノコに変身。

結局飢えには勝てなかった人間の弱さを表現しているオチが効いている。

 

あと特筆すべきなのが、キノコの怪物「マタンゴ」の声。ウルトラマンの宿敵であるバルタン星人の声なのだ。本作で創られた怪物の声がバルタン星人に流用されたのである。

 



3

『美女と液体人間』『ガス人間第一号』に続いて、同じ変身人間シリーズの『電送人間』を鑑賞。

3部作の2作目にあたるそうで、僕はてっきり『ガス人間第一号』の方が2作目かと思っていたが、こちらの方が2作目なんだ。

公開年は1960年で『ガス人間第一号』と同じ。でも『電送人間』が4月公開で、『ガス人間第一号』は12月公開だから、半年こちらの方が早い。


densoningen

本作の監督は福田純

もともと本作も本多猪四郎が監督を務めるはずだったが、『宇宙大戦争』の製作に追われていたことで、『空の大怪獣ラドン』の助監督をしていた福田純が監督をすることに。

特技監督は当然ながら円谷英二

彼抜きでは東宝特撮映画は作れない。

 

本作で人間を変身させるのは電波。

肉体を特殊な装置で電子化し、電波に乗って移動する。

 

このあたりはアメリカ映画の『ハエ男の恐怖』と同じ設定だ。
でもハエ男の方は電子化した際にハエが同じ装置に侵入し、人間とハエの分子が混ざり、恐怖のハエ男になった。

そして、元に戻るために試行錯誤の末、自ら死を選ぶという悲しい物語だ。

ラストで、頭が人間で身体がハエになった主人公がクモの巣に引っかかって、今にもクモが襲い掛かる状態でピーピー泣いている映像がなんとも不気味で、今でもたまに思い出すときがある。

 

本作は電波に乗って、瞬時に別の場所へ移動することで、過去に自分を裏切った仲間を殺していくというサスペンス仕立てになっている。

電送人間を演じている中丸忠雄が不気味な雰囲気を醸し出していて、とても怖い。(ポスター参照)

僕が本作を始めて観たのが小学校の時だったので、当時とても怖かったのが記憶がある。

50年後、改めて見直しても、その怖さは変わらなかった。今観ても十分見応えがある。

 

本作で特筆すべき円谷英二の特撮はなんといっても電送シーンだ。

彼がこだわったのもこの電送シーン。

当時のブラウン管式テレビの原理を真似た走査線の細かい横縞模様を犯人役の中丸忠雄に被せた特殊撮影は本当に人間が電子化していくようでリアルである。

当時はCGなんてなかったので、フィルムによる合成で処理なんだろうが、今観ても古さを感じさせない。

 




↑このページのトップヘ